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サルコペニアの診断基準が改訂されました。AWGS2019による新しい基準を詳しく説明します。

こんにちは。ヒデです。

以前に『サルコペニア』という病態について書きました。

その時に説明した診断基準がこの度改訂され、新しい診断基準が作成されました。

この新しい診断基準(AWGS2019)について詳しく説明していきます。

 

2020年度から75歳以上の高齢者にフレイル健診が始まります。 参考➡2020年度から75歳以上を対象に『フレイル健診』が始まります。 フレイルって何?

サルコペニアはそのフレイルの一部となる病態のため、今後ますます注目されるようになるでしょう。

サルコペニア ~新しい診断基準(AWGS2019)をふまえて~

サルコペニアの定義

サルコペニアという言葉は、ギリシャ語で筋肉の意味のsarxと喪失の意味のpeniaからできた造語です。

つまり、サルコペニアは「筋量と筋力の進行性かつ全身性の減少に特徴づけられる症候群で、身体機能障害、QOL(quality of life)低下、死のリスクを伴うもの」と定義されます。

と言っても、なんのこっちゃ?という感じですよね。

つまり、「筋肉が減ったり、筋力が落ちたりすることが、徐々に進んで、身の回りのことや、趣味などの楽しみができなくなり、亡くなるリスクも高くなるような状態」と言い換えることができるでしょうか。

筋力がどんどん落ちてきて、要介護状態となり、健康寿命が短くなる…。避けたいですね。

でも、筋肉は30代から1-2%/年ずつ減少して、80代では20代の頃の70%程度になると報告されています。

特に65歳以上では、筋肉の減少が顕著になると言われています。

サルコペニアの分類 一次性・二次性とは?

サルコペニアはその原因により大きく一次性と二次性に分けられます。

サルコペニアの分類と原因

一次性が加齢によるもの、二次性はその他の原因が1つでもあるものです。

ここでは、一次性(つまり、加齢によるもの)について話をしていきます。

サルコペニアの新しい診断基準 (AWGS2019)

この度、日本のサルコペニアの診断方法が変更になります。

これまで、日本で最も広く使われているアジア人のサルコペニアの診断基準は次の通りですが、まず最初に65歳以上を対象にしています。

アジア人のサルコペニア診断基準

しかし、新しく採用される診断基準は次のようになります。(日本サルコペニア・フレイル学会HPより)

サルコペニア診断基準 AWGS2019

まず最初に65歳などという年齢が全く書かれていません。

つまり、これまでの診断基準では、一次性(つまり加齢によるもの)のもののみを対象にしていましたが、この新しい診断基準では二次性のものにも対象を拡げています。

一般の診療所や地域での評価

これまでの診断基準では、骨格筋量の低下をDXA法またはBIA法という特殊な機械で測る必要がありました。

しかし、上の図の左半分では一般の診療所や公民館などでできる評価のみを採用し、この筋力や身体機能テストでひっかかれば、サルコペニアの可能性として介入するようになっています。

つまり、これまでよりもサルコペニアへの介入をしやすくすることで、筋肉量の低下を早期に防いでいこうという意図が見えます。

また、どのような方にサルコペニアを疑うかということに関しても、簡単に評価できるようになっています。

  • 下腿周囲長(ふくらはぎの一番太いところの周囲の長さ)が男性で34cm未満、女性で33cm未満の方
  • SARC-F が4点以上の方
  • SARC-CalF が11点以上の方

下腿周囲長はメジャーがあれば家でも計測できますし、SARC-F と SARC-CalF はともに質問に答えることで簡単に評価できます。(詳細は下に書きます。)

装備の整った医療施設での評価

こちらでの評価は、一般の診療所での握力、身体機能(評価法は3つ)、そしてDXA法またはBIA法による骨格筋量の評価を行う必要があります。

これにより、

  • 骨格筋量が少なく、筋力が弱い ➡ サルコペニア
  • 骨格筋量が少なく、身体機能が低い ➡ サルコペニア
  • 骨格筋量が少なく、筋力が弱く、身体機能が低い ➡ 重度サルコペニア

と評価することになります。

また、サルコペニアを疑う症例は、一般の診療所の

  • 下腿周囲長(ふくらはぎの一番太いところの周囲の長さ)が男性で34cm未満、女性で33cm未満の方
  • SARC-F が4点以上の方
  • SARC-CalF が11点以上の方

に追加して、

  • 身体機能の低下や機能障害、意図しない体重減少がみられる方
  • うつ症状、認知機能低下がみられる方
  • 転倒を繰り返す方
  • 心不全や慢性呼吸器疾患、糖尿病、慢性腎不全などの慢性疾患を持っている方

も、この評価を行うように推奨されています。

こちらでも、筋肉量の低下を早期に防いでいこうという意図が見えます。

SARC-F / SARC-CalF

SARC-Fは以下のように簡単な5つの質問に答えて、その合計点で評価できる、自宅でも可能な評価方法です。

また、SARC-CalFは上記の5つの質問に加えて、下腿周囲長を計測することで、その合計点で評価できるものです。

これであれば、自宅でも簡単に評価できますね。

SARC-Fで合計点が4点以上の場合、またはSARC-CalFで合計点が11点以上の場合は、サルコペニアの疑いがありますので、次の握力や身体機能の測定をしましょう。

握力の測定方法

握力の測定方法ですが、椅子に座って行います。この時、握力計の重さを被験者が感じない様に、他の人が握力計を持つようにします。

左右それぞれ2回ずつ測定して、最大値を採用します。

その値が男性で28kg未満、女性で18kg未満であれば、握力低下と判定します。

身体機能 5回椅子立ち上がりテストの測定方法

椅子に座り、腕を組んだままなるだけ速く 立っ→座る を5回繰り返し、かかった時間を計測します。

これが12秒以上かかるようであれば、5回椅子立ち上がりテストの身体機能低下と判断します。

身体機能 歩行速度の測定方法

6m以上の直線で行います。

加速、減速の時の測定を行わないようにするため、0mから6m地点まで歩いた場合、1m地点から5m地点までの時間を計測し、速度を求めます。

こちらの測定回数は原則1回とします。

歩行速度が1.0m/秒以下であれば、歩行速度低下と判定します。

身体機能 SPPBの測定方法

SPPBは、上の2つの身体機能テストにバランステストを加えたような評価方法です。

次のような順序に沿って、バランステスト、歩行テスト、椅子立ち上がりテストを行い、その合計点で評価します。

このSPPBでは、合計点数が9点以下の場合、身体機能低下と判断します。

骨格筋量の計測 DXA法 と BIA法

・DXA法:2種類のX線(レントゲンの時に使う放射線)をあてることで、骨密度や筋肉量などを測る方法。四肢除脂肪体重(四肢の重さから脂肪を除いた重さ)を用います。

・BIA法:体に微弱な電流を流して、その抵抗を測り、水分量や体脂肪、筋肉量などを測る方法。四肢筋肉量を用います。

BIA法の方が、馴染みがある方も多いかもしれません。

以前に内臓脂肪の計測のところで出てきた、体組成計がその一つです。

TANITAのHPより

このBIA法の方が簡易的ですが、微量の電流を流すため、ペースメーカーが入っている人には使用できません。

また、これはDXA法にもBIA法にも当てはまりますが、機械により値にばらつきが出ると言われています。

筋量は身長により変わるため、それぞれのから得られた値を身長の二乗で割って補正します。

正常値は下のようになります。

この正常値を下回るようであれば筋肉量が低下していると判断ます。

これらの結果で、先に述べたように、次のような診断を行うことになります。

  • 骨格筋量が少なく、筋力が弱い ➡ サルコペニア
  • 骨格筋量が少なく、身体機能が低い ➡ サルコペニア
  • 骨格筋量が少なく、筋力が弱く、身体機能が低い ➡ 重度サルコペニア

格筋量以外は自宅でも可能な検査になりますので、ぜひ一度、評価してみることをおすすめします。

自宅で非常に簡単にチェックする方法『指輪っかテスト』

これは非常に簡易的な検査ですが、ふくらはぎの周囲径を測る検査です。

両手の親指と人差し指で、下のように輪っかを作り、ふくらはぎの周囲とどちらが長いかを測ります。

効き足でない方のふくらはぎの一番太い場所の周囲で、上の様な輪っかを作ってみてください。

え?そんなの、ふくらはぎの方が太いから、輪っかができないよ~という方は、安心してください。サルコペニアの可能性は低いです。

一方で、この輪っかの中にきれいにふくらはぎが入り、すき間があるようであれば、サルコペニアの可能性が高いとされています。

サルコペニアと診断された場合、しっかりと栄養摂取、筋トレを!

サルコペニアは、筋肉量低下により、寝たきりなどの要介護状態となりやすく、健康寿命が短くなります。

主治医、栄養士、理学療法士などの指導でしっかりとした栄養摂取、および筋トレなどの運動をしていき、寝たきりになることを防いでいきましょう!

OPJリエゾン 2020年春号

 

レジデント2020年3月 Vol.13No.3 特集:サルコペニア対策の最前線

 

日本サルコペニア・フレイル学会認定 サルコペニア・フレイル指導士テキスト

では、みなさん、今日も元気にお過ごしください!

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