こんにちは。ヒデです。
今回は病気のことについて書かせていただきます。
今回の病気は『急性心筋梗塞』です。
急性心筋梗塞とは、どんな病気なのか、何回かに分けて、わかりやすく詳しく説明していきますね。
今回は、急性心筋梗塞は死ぬ病気なの?助かる病気なの?という点で話をします。
もくじ
急性心筋梗塞
急性心筋梗塞は死ぬ病気?助かる病気?
皆さんにとって、『急性心筋梗塞』という病気は死ぬ病気というイメージでしょうか?助かる病気というイメージでしょうか?
もちろん、命を落とす可能性のある怖い病気ですが、一方で助かっている方も多くおられます。
では、この図をご覧ください。
これは、年代ごとに急性心筋梗塞の助かる確率(救命率)をあらわしたグラフです。
1960年以前は60%程度であった救命率が、集中治療室や電気的除細動器が整備され、1980年ごろには80%程度にまで上昇しています。
その後、現在行われているようなカテーテル治療をできる病院が増えたことで、2000年ごろには救命率が90%以上にまで改善しています。
皆さんのイメージとは一致していましたか?
意外に助かるんだなぁと感じた方も多かったのではないでしょうか?
しかし、注意してほしいのは、このグラフ、『病院に搬送された方の救命率』であることです。
実は、病院に搬送されるまでに14%以上の方が心臓が止まってしまう(心肺停止)という報告があります。
急性心筋梗塞の合併症として、致死性不整脈(心臓がほとんど動かないような状態になる速い不整脈)があります。
この致死性不整脈が起こると、心臓がほとんど止まったような状態となり、脳をはじめとする全身の臓器に血が行かなくなります。
すると、脈も触れなくなるので、このような状態を心(肺)停止とされます。
*この致死性不整脈については、こちらの記事に詳しく説明していますので、参考にしてください。⇒急性心筋梗塞の方に致死性不整脈が起こるとどうなるのか?
病院外で心肺停止になった場合、助かる確率が低くなりますよね。
ちなみに、この致死性不整脈、急性心筋梗塞を発症しても起こらない場合もありますし、すぐに起こる場合、時間がたってから起こる場合と様々です。
タレントの松村邦洋さんは東京マラソンで心肺停止に
有名人も急性心筋梗塞になった方は多くいます。
その中でも、タレントの松村邦洋さんが急性心筋梗塞になったことをご存知の方は多いのではないでしょうか。
(2009年3月23日 日刊スポーツより)
松村邦洋さんは、2009年に東京マラソンの本番、走ってる最中に急性心筋梗塞を発症しました。
この新聞記事の中で、発症最中の松村邦洋さんの様子について、次のように書かれています。
「ぐったりした様子で口から泡を吹き、目はうつろで、顔も青ざめた状態だった。倒れたまま全く動かなかった。」
つまり、松村邦洋さんは急性心筋梗塞を発症したすぐ後に心停止になってたんです。
しかし、幸運にもこの時は東京マラソンの当日であったため、周囲に救急隊がいました。
「ほとんど時間を置かずにAEDを持った大会スタッフ2人がまず駆け付け、救急処置を始めた。」
とこの記事の中には書かれています。
AEDとは、自動体外式除細動器のことで、命に関わる不整脈を自動診断して電気ショックを与える機械です。
最近は、街中でも多く見かけるようになりました。
なお、東京マラソンでは、約60台のAEDがコースに配置され、こういった状況に備えているとのことです。
その後、松村さんは無事退院され、現在もタレント活動をされていますよね。
もしも松村さんが急性心筋梗塞を起こしたタイミングが、1人で練習しているときだったとおもうとゾッとしますね。助からなかったかもしれません…。
実は、AED、Amazonで購入できたりもします。( ゚Д゚)
現役のサッカー選手だった松田直樹選手は練習中に心肺停止に
松村邦洋さんは、あの体格です。やはり練習不足で運動したから…と思う方も多いかもしれません。
でも、現役のサッカー選手が心筋梗塞から心肺停止になったのをご存知でしょうか?
その選手は松田直樹選手、元日本代表のサッカー選手です。
(2011年8月3日 日刊スポーツより)
このニュースは衝撃でした。現役のサッカー選手が練習中に急性心筋梗塞を発症し、心肺停止となり、そのまま亡くなったのです。
松田選手の場合も、松村さんと同様、急性心筋梗塞発症後すぐに意識がなくなっており、心肺停止状態になったのでした。
しかし、この記事の中で、松田選手が倒れてからAEDで処置されるまで約15分かかったと書かれています。
この当時、私は非常に疑問でした。
松田選手はJ2とはいえ、Jリーグの松本山雅というチームでプレーしていました。
この日はその松本山雅のチームの練習でした。なぜここまでAEDを使うまでに時間がかかったのか…。
あとでその理由を知り、私は驚きました。
この日はたまたま、普段使用しているホームスタジアムをアマチュアのサッカーの試合で使用していたようで、ほかのスタジアムで練習していたとのことでした。
もちろん、松本山雅のホームスタジアムにはAEDはあったでしょう。
このスタジアムにAEDが無かったのか、それとも場所がわからなかったのかはわかりませんが、たまたま違うスタジアムでの練習の時に起こった事故でした。
どうですか?偶然助かる方もいれば、たまたま運悪くなくなる方もおられます。
やはり、急性心筋梗塞は怖い病気ですね。
では、サッカーの試合中などに前兆は無かったのでしょうか?この辺りはこの記事に詳しく説明しましたので、参考にしてください。⇒急性心筋梗塞は突然起こる⁉ 前兆はないの? 狭心症との違いは?
心肺停止になった場合、すぐに蘇生を開始し、なるだけ早くAEDを使用することが非常に大事!
このように、心肺停止になってしまった場合には、AEDをどれだけ早く使えるかが生死を分けることがあります。
下のグラフは、心肺停止が起こってからAED使用までの救命率を示したグラフです。
ちなみに、青いグラフは、心肺停止後すぐに心臓マッサージなどの心肺蘇生を始めたとき、赤いグラフは、心肺蘇生をしなかった時の救命率です。
救急車が到着するとされる平均時間6.4分の時の救命率は心肺蘇生をしていれば75-80%と高いですが、心肺蘇生をしていない場合は40%と非常に低くなります。
10分経てば心肺蘇生をしていても60-70%、していなければ10%しか助からないと言われています。
すぐに心肺蘇生を始め、なるだけ早くAEDを使って心臓の拍動を正常に戻すことで、救命率が大幅に上がることがわかっていただけるかと思います。
松田選手の場合、心臓マッサージなどはされていたものの、AED使用まで15分かかったと考えると、やはり救命率はかなり低い状態だったことが予想できますね。
身の回りでAEDのある場所を知っていますか?
家族に何かあった時に、AEDがどこにあるかご存知ですか?
AEDの場所を調べるアプリがありますのでここで紹介します。
これは、「日本全国AEDマップ」というスマホのアプリになります。無料です。
これでたとえば大阪のなんば周辺を探すと、
このように、なんば駅周辺のAEDのある場所が出てきます。
一度、自宅やよく行くところの周りにどこにAEDがあるかを調べてみてください。
ただし、必ずそのAEDを確かめに行ってくださいね。
施設の中などにある場合が多く、夜間や休日などは使えないことがありますのでご注意を!
万が一に備えて、AEDの使い方、心肺蘇生の仕方をマスターしておきましょう
さて、AEDの置いてある場所がわかってていても、使い方を知らないと使えませんよね。
また、上で示した通り、心肺蘇生をしたかどうかで大きく救命率が変わります。
ですから、心肺蘇生の仕方についてもマスターしておく必要があります。
これに関しては、自治体やいくつかの病院が無料で講習会を実施しておりますので、ネットで検索してみてください。
2019年11月13日、俳優の滝口幸広さんが突発性虚血心不全で亡くなられたとの報道がありました。
突発性虚血心不全とは、つまり、急性心筋梗塞を発症し、それに致死性不整脈が合併したことで命を落とされたのではないかと思われます。
お悔やみ申し上げます。
皆さんのAED、心肺蘇生で助かる命があります。
ぜひ、一度は講習会を受けておいてくださいね。
次回 ⇒急性心筋梗塞の方に致死性不整脈が起こるとどうなるのか?
では、みなさん、今日も元気にお過ごしください!
~参考記事~
急性心筋梗塞は突然起こる⁉ 前兆はないの? 狭心症との違いは?