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昨日のテレビ番組『○○○の家庭の医学』を観て、テレビの怖さというものを改めて感じました。

こんにちは。ヒデです。

昨日、たまたまテレビをつけていると、『○○○の家庭の医学』という番組がやっていました。

その前半をなんとなく見ていて、医師としてやはりテレビは恐ろしいなぁと思ったので、急遽、私の意見を書いてみたいと思います。

まあ、個人的な意見として読んでもらえればと思います。

テレビ番組を観た患者さんは、大きく影響を受ける

最近、健康に関する番組が多いですよね。

これは非常に良いことと個人的には思います。

健康寿命を延ばすために、何をすればいいか? これは現在日本が抱えている大きな課題の一つです。

こういった番組に対する、視聴者の関心が大きいのも確かです。(ですから、番組がたくさん放送されるのですが…)

その中で、1つの食品について取り上げ、翌日にはスーパーに売り切れていることも度々話題になってますよね。

今日のTwitterでも、「とろろ昆布が売り切れてた」という内容のものを多く見かけました。

しかし、テレビ番組は、各々の健康状態を把握して作られているわけではなく、その内容がそれぞれの方に当てはまるのかはしっかり吟味する必要があります。

病院や医院にかかっておられる方は、主治医にそういった食品を取り続けて問題ないかを尋ねた方が安全でしょう。

以前に、「納豆が血をサラサラにするとテレビでやってました。」と、ワーファリンという薬を飲んでる患者さんが急に納豆を食べ始めたことがありました。

ワーファリンはビタミンKが大量に摂取されると、効果がなくなる薬です。そして、納豆には非常に多くのビタミンKが含まれています。

ワーファリンは血をサラサラにする薬なので、その方にとっては完全に逆効果です…。((+_+))

こういったことが、テレビ放映後の約1か月は外来で起こっていることを、皆さんにはお伝えしておきたいと思います。

個人的には、多くの種類の食品をまんべんなく摂るのがやはりベストだと考えます。

2019年8月13日放送の『○○○の家庭の医学』を観て…

Twitterなどでは誤った解釈が拡散されている

放送終了後、色々と気になることがあったので、Twitterを覗いていました。

すると、やはり心配なことが起こってますね…。

『とろろ昆布を食べると筋肉が付く』

『腎臓が悪くなるとカリウムを積極的にとるべき』 などなど

では、医師として放送をみての感想を述べさせていただきます。

放送の内容要約(放送の前半のみです。)

『つまずき転倒を防ぐ最新法』という題名で放送されておりました。

運動しているのが無駄になっており、筋肉が衰える人がいる。

筋肉が少なくなると、命を落とすリスクが2倍になることも報告されている。

ここで、普段からウォーキングをしている60-70代の4人の女性が登場します。

片脚の立ち上がりテストを施行。70代の女性Kさんだけがクリアできず。

Kさんの下肢の筋肉量が何歳相当かを計測したところ、90代相当と評価される。

Kさんは毎日7kmのウォーキングしている方だった。

このKさんは、夜に何度もトイレに起きる。腎機能が低下しているときにもみられる行動。

倦怠感、息切れ、夕方の足のむくみ、感動肌の4つも腎機能が低下してきたときに見られる症状なので要注意。

最近、腎機能が低下により、筋肉が落ちてくる人が多く、問題になっている。

腎機能が落ちると、筋肉を作るホルモンの分泌される量が減るため、運動しても筋肉が落ちていくことになる。

このKさんは採血で軽度腎機能低下と診断された。

減塩しなくても高血圧を改善し、筋肉がつきやすい体に改造する方法として紹介されたのが『とろろ昆布』。

日本人女性はカリウム摂取量が足らないが、とろろ昆布にはカリウムが多く含まれる。

カリウムを多く摂取すると、余分な塩分が尿中に排泄される。

Kさんは1週間とろろ昆布を積極的にとったところ、尿中にナトリウムが多く排泄され、血圧が低下。

太ももの筋肉の量が1週間で2.15kgから2.23kgまで増加した。

これを続けることで筋力が改善される可能性があるとのこと。

ここでテロップがでる『腎臓病と診断された方はカリウム摂取が制限される場合があるため、医師にご相談ください』と。

これを要約してしまうと、次のように誤った解釈になるのもうなずける

夜によくトイレに行く人は、腎臓の機能が悪く、いくら運動しても筋肉は落ちていく。

そのうえ、最近疲れやすい、息切れしやすい、夕方に足がむくむ、乾燥肌などがあればより腎臓病の可能性が高い。

でも、大丈夫、腎臓の機能が落ちてきても『とろろ昆布』を食べると1週間で血圧が下がり、筋肉もついてくる。

『とろろ昆布』はなんてすばらしい食品なんだ…と。

私は医師としてこの放送の内容をどう見たか

腎臓の機能が低下すると筋力が落ちてくることに関して

このことは、医療現場でも問題視されています。

やはり、腎臓の機能が低下している方には、タンパク質の摂取を制限しないといけない方がいます。

また、動脈硬化による病気にかかりやすいこともあり、筋力が落ちてくる方が多く問題になっているのです。

ですから、最近は腎臓病の方に運動を促す『腎臓リハビリテーション』の必要性が強調されてきています。

筋肉が減ることで命を落とすリスクが上がることに関して

弱ってしまった筋肉のイラスト

最近、『サルコペニア』という状態が注目されています。

サルコペニアは、加齢や病気により筋肉量が減少し、歩行速度が遅くなり、杖や手すりが必要になってくる状態です。

サルコペニアになると、命を落とす確率が高くなることは報告されています。

ただ、サルコペニアの原因は腎臓病だけではないことは知っておく必要があると思います。

また、似た病態に『ロコモティブシンドローム』というものがあります。

今回行われた立ち上がりテストは、簡易的にロコモティブシンドロームをチェックできる方法のひとつです。

この立ち上がりテストを含めたロコモティブシンドロームをチェックする方法については、こちらで紹介しております。

そして、この状態を改善する方法もこちらで紹介しておりますので、参考にしてみてください。

ちなみに、立ち上がりテストの年齢別の平均値を下に示します。

立ち上がりテスト年代標準値

ちなみに、Kさんを除く他3名は60代、Kさんは70代でした。

Kさんの筋力に関しては落ちてるとは言えないのではないでしょうか。

ウォーキングしている女性の筋力が弱かったことに関して

基本的にウォーキングは有酸素運動に含まれる運動です。

有酸素運動は体力の増加や持久力を上げる目的で行われる運動であり、筋力を上げるためには別にレジスタンストレーニング(筋トレ)をする必要があります。

この女性がウォーキング以外に筋トレをしていたかは放送されていなかったと記憶していますが、ウォーキングをしているのに筋力が弱いという持っていき方には違和感を覚えます。

この1人だけを例に挙げて、『運動しているのが無駄になっており、筋肉が衰える人がいる』というのは強引では?と思ってしまいました。

腎機能低下の時に見られる症状に関して

「夜に何度もトイレに起きる」という症状を最初に聞くと、多くの医師は膀胱の問題(男性の場合は前立腺の問題)を考えるでしょう。

神経因性膀胱や過敏性膀胱といった、膀胱に尿がたくさん貯まる前にトイレに行きたくなる病気です。

たしかに、放送では、『他の疾患も考えますが…』とされてましたが、視聴者はあまりそこには目をやらないのではないでしょうか。

あと、倦怠感、息切れ、夕方の足のむくみ、乾燥肌はいずれも加齢により生じてくることも多く、腎機能障害の典型的な症状とまでは言い切れないのではと個人的には思います。

また、これらの症状がこの軽度腎機能障害の方に出る症状かといわれると、より疑問です。

軽度腎機能障害の方は高齢の方には多くおられます。今回の他の3人の血液データは出ていませんでしたよね。他の方はないのでしょうか。

カリウム摂取を促すような内容に関して

ここまで『腎機能が低下してくると、筋力が落ちますよ』という放送内容の続きに『カリウムを積極的に摂りましょう』と聞こえる内容が続いたことに一番の危険を感じました。

これらの内容を視聴者が、『腎機能が悪かったら、積極的にカリウムを摂らないと』と考えてしまっても仕方ないのではないでしょうか。

たしかに、テロップに『腎臓病と診断された方はカリウム摂取が制限される場合があるため、医師にご相談ください』とありましたが、音声にはこの内容は出ていませんでした。

腎臓が悪い人が今日、とろろ昆布を買いに行っていないことを祈ります。

腎機能がかなり悪い方がカリウムを摂りすぎると、危ない不整脈がでるリスクがありますので、ご注意を!

Kさんの1週間での変化について

Kさんは1週間で血圧が改善し、筋肉が増加したとされています。

たしかに、今回、ナトリウムが体から排泄されたので、血圧は低下する可能性はあります。

日本人の高血圧は食塩の摂りすぎによるものが多いという報告もあり、減塩で下がりやすいとされています。

減塩せずに体から塩分が出された(同様の薬もあります)のは、減塩と同じ効果が期待はできます。

一方で、80gの筋肉が増えたとされるデータには少し疑問を感じます。

この80gは誤差範囲ではないのか、1週間という期間は結論を出すには早すぎないか…などです。

いずれにしても、1人の女性の1週間だけのデータを見て、みんながとろろ昆布を買いに走るのは違和感を覚えました。

もっと多い人数で、長い期間の結果を示す必要があったのではないでしょうか。

 

まとめ

たしかに、とろろ昆布には塩分を尿に排泄する働きがあるようです。

一方で、昆布にはヨードが多く含まれており、摂りすぎると甲状腺機能が低下するリスクがあります。

テレビの放送内容は、1つずつの内容は正しい内容だと思いますが、視聴者の誤解のないように順序立てて説明していかないと怖いと感じました。

各々の持っている病気に対して、テレビで放送される内容が問題ないのかを把握して行動に移す必要があります。

また、1人の1週間のデータで多くの人がとろろ昆布を買いに走っていることに、テレビの影響力の怖さを感じます。

いずれにしても、バランスのとれた食事がよいと個人的には思います。

 

今回は、テレビを見て気になったことを記事にしてみました。

では、みなさん、今日も元気にお過ごしください!

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