こんにちは。ヒデです。
今回は『サルコペニア』という病態を取り上げたいと思います。
サルコペニアも健康寿命を短くしてしまう病態であり、リハビリの領域などでは非常に問題視されています。
もくじ
サルコペニア
サルコペニアの定義
サルコペニアという言葉は、ギリシャ語で筋肉の意味のsarxと喪失の意味のpeniaからできた造語です。
つまり、サルコペニアは「筋量と筋力の進行性かつ全身性の減少に特徴づけられる症候群で、身体機能障害、QOL(quality of life)低下、死のリスクを伴うもの」と定義されます。
と言っても、なんのこっちゃ?という感じですよね。
つまり、「筋肉が減ったり、筋力が落ちたりすることが、徐々に進んで、身の回りのことや、趣味などの楽しみができなくなり、亡くなるリスクも高くなるような状態」と言い換えることができるでしょうか。
筋力がどんどん落ちてきて、要介護状態となり、健康寿命が短くなる…。避けたいですね。
でも、筋肉は30代から1-2%/年ずつ減少して、80代では20代の頃の70%程度になると報告されています。
特に65歳以上では、筋肉の減少が顕著になると言われています。
サルコペニアの分類 一次性・二次性とは?
サルコペニアはその原因により大きく一次性と二次性に分けられます。
一次性が加齢によるもの、二次性はその他の原因が1つでもあるものです。
ここでは、一次性(つまり、加齢によるもの)について話をしていきます。
サルコペニアの診断方法 アジア人の基準
サルコペニアの診断方法は、世界の各地域によって少しずつ異なります。
日本独自のサルコペニアの診断の基準も考案されていますが、ここでは、日本で最も広く使われているアジア人のサルコペニアの診断基準を示します。
この診断基準は一次性(つまり加齢によるもの)ですので、まず65歳以上であることが前提になります。
(なお、65歳未満で、下の2項目があてはまるものを二次性とします。)
簡単に言えば、65歳以上で筋力が低下しており、その原因が筋肉量の低下によるものを『サルコペニア』と呼ぼうということですね。
握力の測定方法
握力の測定方法ですが、椅子に座って行います。この時、握力計の重さを被験者が感じない様に、他の人が握力計を持つようにします。
左右それぞれ2回ずつ測定して、最大値を採用します。
その値が男性で28kg未満、女性で18kg未満であれば、握力低下と判定します。
(※2019年の診断基準から男性の握力の基準が26kg未満→28kg未満に変更されました)
歩行速度の測定方法
6m以上の直線で行います。
加速、減速の時の測定を行わないようにするため、0mから6m地点まで歩いた場合、1m地点から5m地点までの時間を計測し、速度を求めます。
こちらの測定回数は原則1回とします。
歩行速度が1.0m/秒以下であれば、歩行速度低下と判定します。
(※2019年の診断基準から歩行速度の基準が0.8m/秒→1.0m/秒に変更されました)
握力低下または歩行速度低下があれば、筋肉量の計測を行うことになります。
筋肉量の計測 DXA法 と BIA法
・DXA法:2種類のX線(レントゲンの時に使う放射線)をあてることで、骨密度や筋肉量などを測る方法。四肢除脂肪体重(四肢の重さから脂肪を除いた重さ)を用います。
・BIA法:体に微弱な電流を流して、その抵抗を測り、水分量や体脂肪、筋肉量などを測る方法。四肢筋肉量を用います。
BIA法の方が、馴染みがある方も多いかもしれません。
以前に内臓脂肪の計測のところで出てきた、体組成計がその一つです。

TANITAのHPより
このBIA法の方が簡易的ですが、微量の電流を流すため、ペースメーカーが入っている人には使用できません。
また、これはDXA法にもBIA法にも当てはまりますが、機械により値にばらつきが出ると言われています。
筋量は身長により変わるため、それぞれのから得られた値を身長の二乗で割って補正します。
正常値は下のようになります。
この正常値を下回るようであれば筋肉量が低下していると判断され、サルコペニアと診断されるのです。
自宅でチェックする方法『指輪っかテスト』
これは非常に簡易的な検査ですが、ふくらはぎの周囲径を測る検査です。
両手の親指と人差し指で、下のように輪っかを作り、ふくらはぎの周囲とどちらが長いかを測ります。
効き足でない方のふくらはぎの一番太い場所の周囲で、上の様な輪っかを作ってみてください。
え?そんなの、ふくらはぎの方が太いから、輪っかができないよ~という方は、安心してください。サルコペニアの可能性は低いです。
一方で、この輪っかの中にきれいにふくらはぎが入り、すき間があるようであれば、サルコペニアの可能性が高いとされています。
こんな人はサルコペニアになり易い!
肺気腫(COPD)を持っている方、肝硬変を持っている方、腎機能が低下している方、認知症がある高齢者などは、特にサルコペニアを合併しやすいことがわかっています。
また、骨粗鬆症と合併しやすいため、歩行が困難になったり、バランス感覚も悪くなりやすいことも言われいます。
改善方法としては、分岐鎖アミノ酸の補充と運動などですが…
この先はまた次回にします。
では、みなさん、今日も元気にお過ごしください!
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